2019年2月28日木曜日

Jazz Quest アメリカツアー

 敬和学園高等学校の卒業生、敬和学園大学Jazz Questのメンバー、そして、トロンボーン奏者のマークマリンさんと一緒に、1週間のアメリカ演奏旅行に行ってまいりました。
 演奏旅行中、San Joaquin Valley Jazz Festival に参加しました。フェスティバルですので、トロフィーや賞状などはありませんが、三人の審査員がそれぞれの団体を採点します。わたしたちは最高得点を獲得し、世界最大のジャズフェスティバルである、モントレージャズフェスティバルに招待してただくことになりました。これまでの皆さまのお支えを、心より感謝申し上げます。


 そもそもこのツアーは、定年退職を目前にしたわたくしが、30年以上敬和学園高校のホームステイプログラムを続けてきたサクラメント校外のファミリーたちへ恩返しに、音楽をプレゼントしたいということから企画しました。わたし自身、このプログラムで7回生徒を引率し、多くの友人を与えられました。

 そしてもう一つ、わたしは13年間、高校でジャズバンドの指導してまいりましたが、ジャズという偉大な音楽を生んだ国の人々に、わたしたちが極東の小さな島国にあって、いかにジャズを愛し、そこからいかに多くの恵みを与えられてきたかということを感謝を込めてお伝えしたかったのです。さらに、わたしたちはとりわけDuke Ellingtonの音楽を愛してまいりましたが、そのEllingtonが新潟地震の際、多額の義捐金を新潟に送り、その功績によって新潟の国際名誉親善大使になり、その感謝の気持ちを忘れぬよう、Duke Ellington Memorial Jazz Streetというイベントが、今も続いているということもお伝えしたかったのです。

 このツアーのため、エリントンの曲から24曲を選び、カウント・ベイシーの曲と、マリンさんの作品7曲を加えた、31曲を準備しました。

 まず19日、友人のRandy Chafin氏のお嬢さん、Nicholeの家のリビングをお借りして5時間リハーサル。敬和学園大学との交換留学プログラムで知り合った、Howard UniversityのNa'Vaughn Martinくんと初めてリハーサルを行いました。さすが音楽専攻の学生だけあって、1回のリハーサルで息もぴったり合いました。


 20日、Old Sacramentのナイトクラブ、Laughs Unlimitedにて、2回の演奏を行いました。


ここには、Randyの友人で、元ブラックパンサーという黒人公民権運動のグループに所属し、現在はアメリカ黒人の歴史と文化を教える大学教授のスタンレーさんという方も来られ、わたくしたちのスピリットとブルースを賞賛していただきました。


 21日は、Folsom High School のビッグバンドを訪問、交流を行いました。このバンドの指導者、Curtis Gaesser氏は長年の音楽教育の功績を讃えられ、グラミー賞にノミネートされたという方で、バンドも全米トップクラス。コンテンポラリーを中心とした、高校生とは思えない素晴らしい演奏を聴かせていただきました。音楽室にはトロフィーの山、山、山。5つのレコーディングスタジオが併設されており、パートごとの録音も可能。一軍、二軍、三軍まであって、熾烈なレギュラー争いがあり、生徒は必ず音楽の個人教授を受けなければ一軍に入れないそうです。三軍の生徒が、目を輝かせながら、「いつかぼくも一軍に入りたいんだ」と先輩の演奏を憧れの眼差しで見ているのが印象的でした。


 22日は休養日。23日は、車で3時間かけ、Fresnoへ。最初にお話ししたように、San Joaquin Valley Jazz Festival に参加しました。ゲストプレーヤーは、世界的トロンボーン奏者のMarshall Gilkes氏。1時間の講演を聞きました。クラッシックの基礎練習の大切さを力説され、超絶テクニックやご自身の作曲のやり方などを紹介していただきました。


 本番では、Jazz Questが、山野ビッグバンドジャズフェスティバルで演奏した、Perdido, Isfahan, Mr. Harissaに加え、Happy Go Lucky Localを演奏。全てエリントンの曲で、新潟とエリントンの深い関係と感謝もMCの中でお伝えしました。
 三人の審査員は大学のビッグバンド指導者やプロのミュージシャンでしたが、百点満点中、93, 97, 98点という素晴らしい点数をいただきました。コメントを同時録音したテープでも、絶賛していただきました。「自分もあのサックスセクションに入って演奏したい」「大学にスゥイングを教えに来て欲しい」など過分のお褒めをいただきました。
 特に評価されたのは、スゥイングでした。大会はコンテンポラリーが中心で、スゥイングするバンドが少なかったのです。わたしたちは長年スゥイングを追及してきましたので、とても嬉しかったです。それから、管のサウンドをお褒めいただきました。思うに、コンテンポラリーは響きを重視した吹奏楽奏法のバンドが多く、ジャズらしい、エッジの立った、スピード感と圧力のあるわたしたちのサウンドを高く評価していただきました。
 しかし何より、はるばる日本からやってきて、エリントンへの敬意と感謝を心を込めて演奏したことが、一番大きかったのだと思います。やはり音楽は心が一番大切だと本当に実感しました。
 大会では、ピアノの杏ちゃん(唯一の高校生)、サックスの泰くん、ドラムのもとちゃんが、「傑出した奏者」(outstanding performance)として賞状をいただきました。




 演奏後、クリニックがあり、バディー・リッチ楽団や、メイナード・ファーガソンバンドのピアニストだったMatt Harris氏に40分ほど教えていただきました。「君たちの演奏は素晴らしかった。演奏を直すところはないから、別のことをしよう」ということで、ジャズでもっとも大切なのは、「会話」conversationであるということを実演を通して教えていただきました。今度来日して、Blue Noteで演奏されるそうです。



 24日はサクラメントの仏教教会で演奏。200名以上のお客様から、スタンディングオベーションをいただきました。この教会にはアメリカ最古の日本製ピアノ(ヤマハ)があるということで、そのピアノをお借りしての演奏となりました。


 25日はサヨナラパーティー。長年海外教室でお世話になり、また今回もメンバーをホームステイさせていただいたファミリーにピザと演奏でご恩返しをいたしました。


 今回の旅で特にお世話になったのが、20年来の友人、Randy Chafin氏です。氏は、演奏先との交渉から、楽器のレンタル、練習場の手配、車のレンタルばかりか、全ての演奏と空港の送り迎えまでしてくれたのです。わたしも8日間、ホームステイさせていただきました。Randyの助けがなければ、決してこの演奏旅行は実現しませんでした。本当に感謝しています。写真はRandyと奥様のジュリーさん。


 マーク先生は、カリフォルニアに高校、大学時代の友人がたくさんおり、多くの方が大学、高校で音楽を教えています。それらの素晴らしい方々との出会いも楽しい思い出になりました。


 30年間教師を続け、13年間ジャズを教えてきた最後の時に、お世話になった全ての人たちと、全てのことがらが一つになった素晴らしい演奏旅行でした。本当にありがたく、感謝しております。

 このメンバーのほとんどが、Jump for Joyとして音楽活動を続けます。また、夏のジャズストリートでお目にかかりましょう!